荒野を歩け

買ってよかったものや食べてよかったものを書いていくだけのブログです。うそです。雑記帳です。

TEXAS

 ご報告と所感の覚書きを兼ねたエントリを投稿してから早2ヵ月。(もはや毎度おなじみの冒頭)(引き出しが乏しすぎる問題)

このたび、2021年1月佳日に無事入籍しました。

solamimix.hatenadiary.jp

 

共暮らしはあいかわらずだし実感はあまりない、と一度はタイプしたものの、キーボードを叩くたび視界の左端でチカチカと反射される光が目に留まり、バックスペースを押しました。

晴れて、薬指に指輪を通す日が迎えられたことを心から嬉しく思います。

オーダーしていた指輪が手元に届いてからというもの、この時が来るのを首を長くして待ち望んでいました。当初の納入予定日は年明け前後だったのが、フタを開けてみれば大幅に前倒しての完成。欣喜雀躍する反面、すぐにでもつけ始めたい衝動と長期戦での戦いを余儀なくされました。(勢い余ってツイッターで実装タイミングのアンケートもとった人)

贅沢な悩みですね。

入籍日に解禁して以来、誇張なしに毎日100回くらいは自分の手を眺めています。夫の指の第二関節から根元のあいだを泳ぐさまを見ても、気がつけばニヤニヤしている自分がいます。これが今のところ、一番の実感かもしれません。

 

名字については、現在も鋭意変更手続き中ということもあり、自分のものとしてしっくりくるのはまだ先のようです。

愛憎を織り交ぜつつ長らく慣れ親しんできた名前をある日を境に名乗らなくなる、というのは実際に直面してみると、当然ではありますが不自然なことのようにも感じます。愛着があったかと聞かれると、一度首をかしげてから頷くのが個人的には妥当なラインであったわが旧姓。しかし思えば、名字は自分がこの世に生まれた時からともにあり、ヘタすると両親からの最初の贈り物よりも先に与えられた呼び名なんですよね。

自分を定義してきた名前がある瞬間から過去のものとなり、その日から(おそらく)二度と名乗ることはないのだと思うと、これまでの日々が切り離されるようで、少々鼻の奥がつんとしました。

人生は地続きであり、結婚によって自分の中のなにかが変えられることはないのだけれど、それまでの世界と同じように見えて確実にどこかが違っている。白線を一本引かれたような気がしました。(だからといってどうということはないのですが…)

雑感として、名前が変わるって、喜びや煩わしさだけでなく感傷も生じうるのだなとひとつ学びになりました。

 

また、入籍に伴って関係各所へご報告をしてみて感じたのは、ハッピーな気分になってくれる方が意外に多いということ。

ごく私的な事柄であり、語弊を恐れず言うのであれば、当事者たちを除いては無関係の出来事にもかかわらず、お伝えした相手に軒並み喜んでもらえることに驚きました。

寿ぎだけでもありがたいところを「明るいニュースで温かい気持ちになりました」と笑顔になってもらえて、私としては本当に幸せなかぎりです。嬉しい誤算でした。

 

入籍をして夫婦になった以外、生活における変化は今のところありません。これまでと変わらず、仕事へ行き、食卓を囲み、夜は眠り、淡々と日常を過ごしています。

平凡な日々の美しさを知った今は、この暮らしがご褒美のように感じられる時があります。おいしいものを食べても元気が出ない日、のんびりと笑うこの人が隣にいればまぁいっかと思えることもあります。
エンドロールのその先の物語に憧れてきたけれど、ここに立ってみて気づいたのは、エンドロールのその先は新しい日々の幕開けなのだということ。

ひとつの家族として、私たちはまだスタートを切ったばかりです。

お互いに感謝といたわりを忘れずに時間を重ね、いつか振り返った時に「人生、悪くなかったね」と笑いあえるものになればいいなと思います。